東芝の金子聖史内野手(27=九州共立大)が7回、左中間へ本塁打を放ち、初戦の悪い空気を吹き飛ばした。

今年初の公式戦。無観客試合で、いつもならにぎやかな応援団もいない。初めて経験する雰囲気での公式戦に1、2回で5点とったものの、その後は膠着(こうちゃく)状態が続いた。5-2で迎えた7回、金子は「ベンチの雰囲気がよくなかった。積極的にいって、何とかして出塁しなければ」と打席に立った。初球のチェンジアップをフルスイング。打球はライナー性の打球で左中間スタンドへ吸い込まれた。一気に沸き返るベンチ。息を吹き返した打線は8回に3点を挙げ、全川崎を突き放し勝利を決めた。

就任3年目の平馬淳監督(45)は、日頃から「考えて打て」と選手たちに話してきたが、根っからの明るい性格でいつもポジティブな金子にだけには「お前はお前らしく」と言い続けてきた。金子はその言葉通り「シンプルに、来た球を打ち、全力を出し切る」と考え積極的に振る。「打線に1人くらい、自分みたいなヤツがいてもいいですよね」。初戦から、チームでの存在感を存分に発揮して、チームに勝利を運んだ。

これまでは、感情を態度に出すなど、指摘されることがたびたびあった。しかし、この試合ではチーム全体の雰囲気を見てプレーに生かした。金子は「6年目で、少し大人になったかな」と、照れ笑いを浮かべた。