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Friday, September 11, 2020

ベスト電器が店舗でのNintendo Switch転売に関する声明を発表。転売屋と店舗との癒着が疑われるも、事実関係は調査中 - AUTOMATON

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Image Credit : @TB51029724

株式会社ベスト電器は9月11日、「SNS上での当社に対する投稿につて」と題した声明を発表し、店舗が不当にゲーム機を転売していることを指摘するSNSへの投稿があったことについて、事実関係を調査していると公表した。

Image Credit : ベスト電器

ベスト電器は九州地方を中心に全国規模にチェーン展開している家電量販店で、2020年9月現在、フランチャイズ店なども含めると全国に330店以上の店舗を有している。2017年には大手家電量販店であるヤマダ電機と株式交換を行い、その完全子会社となった。ゲーム機転売が噂になっているのはベスト電器都城店と家電住まいる館YAMADA都城店で、いずれも宮崎県内で近距離にある店舗だ。

ゲーム機の転売疑惑の発端は、ゲーム機・家電買取を行う業者である「買取当番」のTwitterアカウントがきっかけだ。品薄が続いているNintendo Switchの箱を大量に積み上げた画像を投稿した買取当番のツイートに、ベスト電器都城店と家電住まいる館YAMADA都城店の店舗番号シールが貼られた箱が写りこんでいたのだ。ベスト電器都城店の店舗番号が写った画像が掲載されたツイートは削除済みだが、家電住まいる館YAMADA都城店の店舗番号シールが写っているツイートは9月11日22時の時点ではまだ残っている。

Image Credit: @TB51029724

*ツイート2枚目の画像を拡大したもの。「0116」は家電住まいる館YAMADA都城店の店舗番号。

店舗番号シールが貼られたダンボールは商品を卸す際に使われることが多く、家電量販店の場合、箱の中には新品の商品が入っている。業者間のやりとりで使われるものという特性上、この箱に入った商品が一般顧客向けの商品として出回ることはほとんどないのだ。つまり、買取当番が画像で積み上げているNintendo Switchは個人から中古購入したり店舗を回って入手したものではなく、ベスト電器都城店と家電住まいる館YAMADA都城店に卸された商品がそのまま横流しされていると解釈されているわけだ。

前述したとおりヤマダ電機はベスト電器の親会社であり、ベスト電器都城店とその親会社のフランチャイズ店である家電住まいる館YAMADA都城店の店舗番号シールが同じアカウントの画像から見つかったのは偶然とは考えにくい。しかし、店舗と買取業者が癒着して転売していることを決定づけるような証拠はなく、はっきりと転売目的の横流しであるとは言い切れない状態だ。

2020年9月11日時点のAmazonにおけるNintendo Switchの価格。なお、希望小売価格は税別2万9980円である。 Image Credit: Amazon.co.jp

【UPDATE 2020/9/12 14:15】
Nintendo Switchの価格の定価という表現を、希望小売価格という表現に変更


今回ベスト電器が迅速なコメントを公開したのは、ユーザーがNintendo Switchの転売問題に対して敏感であることが背景にあると思われる。Nintendo Switchは発売直後から長く品薄状態が続いてきた。昨今は新型コロナウイルス流行による巣ごもり需要によって、さらに品薄に拍車がかかっている状態だ。しかし、品薄の原因は人気によるものや社会情勢などのほか、転売屋の存在も大きく関係している。

店舗が仕入れた在庫を根こそぎ買い占め、それを高値で転売するのが転売屋のやり方だ。店舗側も本人確認や整理券の手渡しなどさまざまな対策を行っているものの、転売屋とイタチごっことなってしまっているのが現状である。店舗での購入が機能しなくなった結果としてメーカーや大手家電量販店のオンラインショップで定期的に抽選販売が行われているものの、その倍率はすさまじく、数か月応募し続けても当選しない……といったこともままあるようだ。

単なる人気による品薄ならまだしも、悪質な転売のせいで本当に欲しい人々にゲーム機が行き渡っていない現状が、ユーザー全体の転売屋に対する憎しみを増大させている。そこに店舗と買取業者が結託して利益を得ているという噂が流れてしまえば、フラストレーションがそちらに向かうのは想像に難くないだろう。結果としてベスト電器に疑惑が集まり、今回の声明を発表する運びとなった。

Image Credit: 文部科学省


定価以上の価格による転売で不当に利益を得る行為は、ゲーム機以外にも問題となっている。2019年6月にはチケット不正転売禁止法が制定されてアーティストのチケット転売の取り締まりが開始され、2020年3月には国民生活安定緊急措置法の改正でマスクの転売が禁止された。ゲーム機は現状では法律上の問題はないものの、市場への影響が著しいため批判の声が非常に多い。

定価以上の価格で転売品を購入しても、その商品を開発したメーカーに利益が上乗せされるわけではない。転売品を購入する消費者がいるために転売が横行し、品薄状態がさらに悪化していくという側面もある。ゲーム機に限らず、品薄状態の商品の購入を検討する際は転売には手を出さず、正規の方法で手に入れるようにしたいものだ。

なお、ベスト電器・ヤマダ電機と買取業者との炎上についての事実関係は、ベスト電器の声明のとおり調査中である。センシティブな問題であるからこそ、きちんとした内部調査により真実が明らかになることを願いたい。

【UPDATE 2020/9/12 14:10】
ベスト電器は9月12日、転売についての調査結果を発表し、店舗番号の印字された物流シールが貼られたダンボールは3名で3台分のNintendo Switchを購入した顧客に対して持ち帰り用に渡したものであるとした。また、「当社は、転売業者への販売を一切認めておりません。今後につきましても、転売業者への販売を防ぐために店舗内および近隣店舗間での情報共有を図り、1会計1台を徹底して参ります」とした。

Image Credit:ベスト電器

ベスト電器でのNintendo Switchの販売は現在、1会計1台の制限を設けている。しかし、別の日に同一の顧客に対してNintendo Switchを販売した履歴が残っているなど、転売業者への対策は万全とは言いがたい状況のようだ。今回の調査結果でも「物流シールのついたダンボールについては、当社の都城店において、3名で3台の『Nintendo Switch』をご購入されたお客様方が持ち帰りやすいようにダンボールを求められたためお渡しした」としているが、そのダンボールが転売業者から発見されていること自体、転売を防ぐことができていない証明とも言えるだろう。

家電量販店と転売業者の癒着を疑われた今回の騒動。転売業者とのイタチごっこを続けている家電量販店側の苦労もうかがえるが、転売を防ぐための情報共有や施策はぜひ綿密に練ってほしいものだ。転売が撲滅され、本当にゲーム機を欲しいと思っているユーザーがいつでも買えるようになることを祈るばかりである。


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