8コア/16スレッドの実力は本物!
2020年10月06日 09時00分更新
サイコムの「Radiant VX2800B550AG」はRyzen PRO 4000Gシリーズを搭載し、9万円を切る価格から買えるというコスパの高さが魅力のモデルだ。
前回は主にスペックや内部についてチェックした。コスパモデルといえども内部の組み立てクオリティーはサイコムらしくしっかりしており、それでいて拡張性が高い、使いやすいミニタワーパソコンだというのが確認できた。今回は気になる性能面をチェックしていこう。
試用したのはRadiant VX2800B550AGの基本構成からスペックアップされたもので、CPUをRyzen 7 PRO 4750G、マザーボードをASUS TUF GAMING B550M-PLUS、メモリーを16GB、SSDを500GBへと変更したモデル(合計12万7130円)だ。
CPU | Ryzen 3 PRO 4350G(試用機はRyzen 7 PRO 4750G) |
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CPUクーラー | Wraith Prism |
グラフィックス | Radeon グラフィックス |
メモリー | 8GB(試用機は16GBメモリー) |
ストレージ | 480GB SSD(試用機は500GB SSD) |
マザーボード | ASUS PRIME B550M-A(試用機はASUS TUF GAMING B550M-PLUS) |
ケース | Fractal Design CORE 1550S Black (サイコムオリジナル仕様) |
内蔵ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ(ASUS DRW-24D5MT+書込みソフト) |
電源 | SilverStone SST-ET550-B(550W/80PLUS BRONZE) |
OS | Windows 10 Home(64bit) |
GPU内蔵とは思えないほどのCPU性能!
8コア/16スレッドの実力は本物だ
Ryzen 7 PRO 4750GはGPUを内蔵しているというだけでなく、8コア/16スレッドと高性能なCPUだ。アーキテクチャは第3世代RyzenとなるZen2を採用しているため、シングルスレッド性能もインテルのCPUに見劣りしないだけの実力がある。
CPU性能のチェックは、定番の「CINEBENCH R20」を使用。CGレンダリング速度からCPUの性能を測ってくれるベンチマークソフトで、結果は独自のptsというスコアで表示される。このスコアが高ければ高いほど、高速なCPUということになる。
一般的なソフトは、いくつかのコアを時間を空けながら使用するものが多く、CPUを上限性能までフルに使うシーンは限られているのだが、CINEBENCH R20はマルチスレッド性能に優れ、フルに使ってくれるのが特長。つまり、CPUのもつ最大性能を見るのにピッタリなテストとなる。
スコアは、マルチスレッドで4777pts、シングルスレッドで503pts。この数値だけで性能が分かる人は少ないと思われるので、過去のデータから参考となるものを引っ張ってくると、同じGPU内蔵で1世代前となるRyzen 5 3400G(4コア/8スレッド)が、マルチスレッドで1907pts、シングルスレッドで409ptsとなっていた。
通常はコア数が2倍に増えたとしても、分散するための処理などが増えるため、単純に性能は2倍にならない。しかし、Ryzen 7 PRO 4750Gの性能は、マルチスレッドでRyzen 5 3400Gの2.5倍以上と驚くほど高く、最大動作クロックが5%ほど増えていることを考慮しても、それ以上のスコアだ。
この理由は、アーキテクチャが第2世代のZen+から第3世代のZen2へと進化していることが大きい。それは、シングルスレッドのスコアも409ptsから503ptsと、1.2倍以上高くなっていることからもわかる。Zen2採用のRyzenがいかに優れているのかよくわかる結果になった。
ここで気になるのが、これほどの性能があるのであれば、発熱も大きいのではないか、ということ。CPUクーラーにAMD純正の高性能モデル「Wraith Prism」とはいえ、何度まで上昇するのかは気になるところだ。
そこで、「CINEBENCH R20」を10回連続で実行し、何度まで上昇するのかをチェックしてみた。CPUの温度は「HWiNFO」を使い、センサー値から計測。なお、CPUに関する温度はいくつかあるが、今回は最も高い値となっていた「CPU Core」の数値を採用している。その結果が以下だ。
最大でも76.3℃と十分低く、安定して動作していることがわかる。負荷が止まれば40℃台まで一気に下がることからも、CPUクーラーの冷却性能が十分高いというのが確認できた。
別の負荷ではどうなるのかと、今度は「CPU-Z」のストレステスト機能を使い、15分ほど負荷をかけ続けて様子を見ていたのだが、それでも温度は最大で73.3℃までしか上昇しなかった。高負荷が長時間続く用途でも、CPU温度を気にすることなく安心して使えるだろう。
グラフィック性能はソコソコあるが
本格的にゲームを楽しむならビデオカードがほしい
AMDは高性能なGPUとしてRadeonをリリースしているので、CPU内蔵のグラフィック性能にも期待がかかる。とはいえ、メインメモリーを共有する形なうえ、Ryzen 7 PRO 4750GのGPUコア数は8つと少なく、過度な期待は禁物だ。
そこで、ベンチマークソフトを使ってどのくらいの性能なのかをチェックしてみよう。試用したのは軽量ゲーミングベンチとして定番の「漆黒のヴィランズ ベンチマーク - ファイナルファンタジーXIV」。解像度は1920×1080ドット、画質は「最高品質」とした重ための設定で試してみた。
結果は「やや快適」で、シーンによっては多少表示がガタつくことはあるものの、しっかりと遊べるだけの性能がある。タイミングがシビアで、いち早く相手の動きをしる必要のあるFPSは厳しいものの、MMOやストラテジーといったジャンルであれば問題ない。
また、もちろん画質を落とせば表示速度は更に改善される。試しに画質を「標準品質(デスクトップPC)」にした場合の結果を見てみよう。画質を落としたことにより、評価は「とても快適」にまでアップ。これならシーンによらず、滑らかな動きでゲームが楽しめるだろう。
なお、重たいゲームではどうなるのかも気になったので、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」も試してみたのだが、解像度を1280×720ドット、画質を「軽量品質」にまで落としても、スコアは4144止まり。評価も「普通」までしかあがらなかった。
なんとか遊べるレベルとはいえるものの、せっかくゲームを楽しみたいというのに画質が低く、動きもぎこちないとなるともったいない。素直にビデオカードを増設する方がいいだろう。
ノートパソコンでは性能に不安がある人の
初めてのデスクトップPC入門に最適!
スペースもいらず移動も簡単、家でも外でも好きな場所で気軽に使えるノートパソコンは魅力だが、問題となるのが性能面。1kg前後のモバイルノートパソコンだと性能が低いし、何より高価。かといって、15型前後の高性能ノートパソコンは重たくなり、ノートのメリットとなる移動が難しくなってしまう。
デスクトップパソコンなら、ノートと同価格でもより高速なCPUを搭載できるほか、メモリーやSSD、ビデオカードの増設によって後から性能をアップできるのがメリットだ。少々難易度は高くなるが、CPUを換装すればさらに性能を向上させることもできるだろう。
Radiant VX2800B550AGであれば、まずは買いやすい9万円切りの標準構成で手に入れ、必要に応じてスペックアップ、強化していけば長く使えることは間違いない。もちろん、BTOメニューが豊富でカスタマイズ性にも優れているだけに、最初からハイスペック構成にもできる。
所有しているノートパソコンの性能に不満があってデスクトップパソコンに興味がある、もしくは、初めてパソコンを買うのにデスクトップパソコンを探しているという人であれば、コスパが高く、将来まで長く使えるRadiant VX2800B550AGがピッタリ。小さめのミニタワーということもアリ、デスクトップパソコン入門としてオススメだ。
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