首位巨人の吉川尚輝内野手(26)が生まれ故郷で暴れまくった。岐阜・長良川球場でヤクルトとの首位攻防戦。1回の4号ソロを皮切りに、好調な3番でサイクル安打に迫る3安打猛打賞4打点の勇姿を披露した。青春時代の思い出が詰まった球場で「感謝を込めて」と打って、走って、「わっしょいベースボール」をけん引。チームは14安打を量産し、25戦ぶりの2ケタ10得点で打ち勝った。三つどもえの大混セ。V3を狙うペナント大本命が首位固めに入る。

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薄暮に染まる岐阜の空を切り裂いた。同点の1回1死。吉川のバットがうなった。ヤクルト小川の144キロ直球に甲高い打球音を響かせた。バックスクリーン左に“里帰り弾”を放り込んだ。「思い切って打ちにいった。お客さんの拍手だったり応援がすごかった」と、5月11日以来となる4号ソロで凱旋(がいせん)を合図した。

ふるさとの空気は格別だった。岐阜・羽島市に生まれた。中京高、中京学院大と7年間、主戦場とした球場は、プロ入りへとつなげた鍛錬の地だった。練習でも試合でも思い出を挙げればきりがない。高校3年夏、県岐阜商に準決勝で敗れた。大学時代は「ここでスカウトとか見に来てもらってプロになれた場所でもあるので、すごくうれしいです」。黒土にまみれて流した涙と汗がよみがえった。

1点リードの6回2死満塁から中越えに3点適時三塁打でたたみかけた。首位攻防の緊迫した状況で驚異的な勝負強さは反骨心が原動力だった。「久々に足がずっと地についてない状態だった。長良川球場に来れなくてすごい悔しかった。今年もケガで間に合うか分からなかったし、周りの人のサポートでプレーできたことに僕の中でも忘れられない1日になった」。今季も6月10日オリックス戦との交流戦で左手中指に死球を受け骨折。今月13日に1軍復帰にこぎつけ、故郷での一戦に間に合わせた。

威勢のいい若武者のかけ声でチームは、7月1日以来、25戦ぶりの2ケタ得点でヤクルトに打ち勝った。2位阪神と0・5ゲーム差をつけて、150日ぶりに奪った首位をキープ。吉川は「今日から6連戦初戦で大事な試合だったので、初戦を取れたことが良かった。全員で一生懸命頑張ります」と総意を代弁した。岐阜城を眺める漆黒の夜空に、秋の誓いを立てた。【為田聡史】

▽巨人原監督(吉川について)「まだまだ彼は若いですけど、ふるさとに錦を飾ったというところではないでしょうか」

▽巨人メルセデス(101球の粘投も4回2/3を8安打4失点で6連勝はならず)「イニング途中で降板となり、悔しい結果となりました。次回は先発の仕事を果たせるよう頑張ります」

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