ウズベキスタンで開催された「AFC U20アジアカップ2023」でベスト4に入ったことにより、世界への切符を手にしたU-20日本代表。
これまでの世代別代表と大きく違うのは、ロールモデルコーチなる新たなポジションが設けられていることだ。ロールモデルコーチを務めるのは、2020年に現役を退いた内田篤人さん。監督ともコーチとも少し違う、彼の役割は少し特別だ。
この記事に関連する写真を見る たとえば昨年6月、フランスで行なわれたモーリスレベロトーナメント(旧トゥーロン国際トーナメント)でのこと。冨樫剛一監督が新型コロナに罹患して指揮を執れなくなったため、船越優蔵コーチが代理で指揮を執った。
船越臨時監督代行は「篤人がさ、俺の座を狙っているんだよ。『優蔵さんがコロナになったら、次は俺が監督できるんですかね』って言ってくる(笑)」と、本来のコーチに無自覚にもプレッシャーを与えていた。
昨年11月のスペイン遠征中では、練習終了後に選手たちが内田さんを囲んで談笑するシーンを見かけた。テレビ出演の多い内田さんに「あの人に会ったことあるんですかー?」などと、10代後半男子らしいさまざまな質問が投げかけられていた。
監督やコーチとは違う選手たちとの距離感を、山根陸(横浜F・マリノス)は「いい兄貴って感じです」と説明する。それは(内田さんだからこそではあるが)若くして引退したからこそ成立するものに感じられる。
今回のウズベキスタンでのこと。敗れた準決勝イラク戦では120分で決着がつかず、PK戦に入った。その時のことだ。冨樫監督や船越コーチが選手たちに指示を与えるなかで、内田コーチは相手ベンチ前の様子をつぶさに観察していた。
「相手のベンチがGKにメモとか渡してないかな......と思って。佐野航大(ファジアーノ岡山)は一度PKを蹴っているから、対策してないかなとか。監督とコーチはチームのことは見ているから、俺は相手を見ておこうと思った」(内田)
人員的な余裕があればこその動きではあっただろう。
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