2023年4月18日
大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、当社の肌研究において、ヘパリン類似物質をはじめとする効果的な成分研究を進めてまいりました。この度、ヘパリン類似物質が肌細胞同士をつなぐ接着因子(DSG1*)に働くことを新たに見出し、さらにアラントイン及びトコフェロール酢酸エステル、又はグリチルリチン酸ジカリウムと組み合わせることで、その作用がより高まることを発見しました。この知見を活用することで、紫外線や洗浄剤、乾燥などの肌がさらされる様々な外部刺激にゆらぎにくく、より健やかな肌を導くことができると考えられます。なお、本研究成果は、2023年3月25~28日北海道札幌市で開催された「日本薬学会第143年会」にて発表いたしました。
*「DSG1」:表皮細胞同士をつなぐ接着装置の重要な膜貫通因子。デスモグレイン1の略称。
研究の背景
肌がさらされる様々な外部刺激とヘパリン類似物質の作用点に着目
生活習慣の変化により、肌はより多様な刺激にさらされています。頻回の手洗い、年間を通したエアコンの使用、そして太陽光からの紫外線など、肌は様々な刺激を受け続けています。外部刺激によってバリア機能が低下した肌は、水分が逃げやすくなると同時に、より一層外からのダメージも受けやすくなる悪循環に陥ります。
そのような、バリア機能が低下しゆらいだ肌を修復するために、20年以上前から研究してきたヘパリン類似物質に着目しました。紫外線や洗浄剤などの多様な外部刺激による肌内部の変化や、バリア機能の維持に重要な因子に焦点を当て、ヘパリン類似物質研究を進めました。
研究成果
1.外部刺激により接着因子が減少しバリア機能が低下する
皮膚は身体の最も外側に位置し、様々な因子を通してバリア機能を発揮しています。その一つが、接着斑と呼ばれる細胞同士を強固につなぐ構造です。培養表皮モデルを用いて、様々な外部刺激が接着因子に及ぼす影響を検討しました。その結果、紫外線や洗浄剤、有機溶剤、乾燥による刺激で、接着斑の主要因子であるデスモグレイン1(DSG1)が著しく減少し、表皮構造が乱れ、皮膚のバリア機能が低下することが確認されました。
2.ヘパリン類似物質が接着因子を高めることを発見
ヘパリン類似物質は、吸水能・保水能を有し、細胞間脂質のラメラ構造に働くことなどが知られていますが、その作用点に関する知見はあまり多くはありません。ヒト表皮角化細胞を用いてヘパリン類似物質の作用を検討した結果、DSG1の遺伝子発現が促進されることが明らかとなりました。さらに、培養表皮モデルを用いた検討にて、外部刺激による表皮構造の乱れやバリア機能の低下を、ヘパリン類似物質が抑制することが確認されました。
3.複数の有効成分を組み合わせることで接着因子の発現がより高まることを発見
さらに、ヘパリン類似物質と他の有効成分を組み合わせる検討を行いました。その結果、アラントイン及びトコフェロール酢酸エステル、又はグリチルリチン酸ジカリウムと組み合わせることで、ヘパリン類似物質のDSG1発現促進作用がより高まることを見出し、外部刺激による表皮構造の乱れを効果的に抑制できる可能性が示されました。
本知見の活用及び今後の展望
本研究により、ヘパリン類似物質が、肌バリア機能に重要な接着因子に働くことを見出しました。ヘパリン類似物質が作用を発揮するメカニズムの一つとして考えております。さらに、複数の有効成分を組み合わせることで、その作用がより高まり、外部刺激にゆらぎにくく、より健やかな肌を導く可能性が示されました。今後も更なる研究開発を進めると共に、ひとりひとりの肌悩みに寄り添うアプローチとしてこれらの知見を応用してまいります。
からの記事と詳細 ( 外部刺激にゆらぎにくく健やかな肌へ、ヘパリン類似物質研究に新 ... - 大正製薬 )
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