肌はスベスベではなく、むしろ毛深いほう
あなたは、自分の身体を他人に触られることに不快を感じないだろうか。
あなたは、他人の身体を触ることに何ら躊躇いを感じないだろうか。
こんな疑問を持ったのは、先日診療していた折に、高齢の男性患者さんの妻に突然「先生、肌がきれいね」と二の腕の素肌をさすられてしまったからだ。
相手が家族や気の知れた間柄であればまだしも、赤の他人にいきなり身体を触られることを不快に感じるのは私だけなのだろうか、他人の身体を躊躇なく触る人の心理とはいかなるものなのだろうか、とつい考えてしまったのである。
過去にも似たような経験は患者さんから幾度かあったが、そのたびに同様の不快を感じつつも「やめてください」と強く言えない自分がいたのも事実ではある。
もはや年齢も50代半ば。肌がスベスベなわけでもない(むしろ毛深いほうだ)。もちろんイケメンでもない。そのような私の身体を触る女性のほとんどは、私の親と同年代ほどだ。息子のように思って、つい触りたくなるのかもしれない。
同じ疑問は、テレビを見ていても感じることがある。
芸能人や力士の体をペタペタさわる人たち
以前あるドッキリ番組で、若い男性芸能人が仕掛け人となって、彼のファンである一般女性の目の前に突然登場しびっくりさせる、といった企画を見て気分が悪くなった。彼の母親ほどの年齢の女性は歓声をあげると、すぐさま駆け寄り、なんのためらいもなく一方的に彼の腕や体をペタペタ触ったうえ、ハグまで求めたからだ。彼は苦笑しつつ、ただ要求に応じるままとなっていた。
大相撲で花道を引き上げる力士の肩や背中を、枡席から身を乗り出して手を伸ばしピタピタと「さわる」観客も男女問わず存在する。これに力士たちは皆、無言で花道の奥へと消えてゆく。すっかり見慣れてしまったが、これも冷静に見れば、なかなかシュールな画だ。
芸能人も力士も、初対面の人にいきなり一方的に触られてどう思っていたのだろうか。むろん彼らの本心はわからない。純粋に、喜ぶファンの存在を嬉しく思ったかもしれない。不快に思っても、プロ意識から我慢したのかもしれない。
「プロなんだからそんなことくらい、いちいち気にしてどうする」
「減るもんじゃないし、それくらいのファンサービスは当然だろう」
という意見もあるだろう。読者の皆さんのなかにも、他人からボディタッチされても「別に気にしない」という人もいるかもしれない。
からの記事と詳細 ( 「肌がきれいね」と突然二の腕をさすられた…50代半ばの男性医師が「診察でモヤモヤした瞬間」を考察する 「やめてください」と強く言えなかった - PRESIDENT Online )
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