10月30日朝、青森県つがる市牛潟の小高い丘は風がやや強く、見渡す日本海には白波が立っていた。だが、130年前のこの日はそれを何十倍も上回る大シケで、米国の大型貨物帆船が座礁、乗組員23人のうち19人が犠牲になった。残る4人は地元の漁師らが命がけで救い出し、仮死状態で流された水夫は漁師の妻が自らの肌で温め、蘇生させた。海に生きる人々の決死の救助は地域で語り継がれ、毎年続く米国との交流につながっている。
旧車力村史などによると、1889年(明治22年)10月30日午前7時ごろ、2日前に硫黄を満載して函館港からニューヨークに向かった米国メーン州バス市船籍のチェスボロー号(1500トン)は、前夜からの大嵐で帆柱が折れるなどして航行不能になり、強風にさらされて波間を翻弄(ほんろう)され、ついに旧車力村牛潟の沖合300メートル付近で、土地の人が魔の浅瀬と呼ぶ「中の森」に乗り上げてしまった。
漁をするための浜小屋に寝泊まりしていた4人の漁師は、漁具や舟の様子を見て回っている最中に、沖合で動けず大波にあえぐような大きな船を見て仰天した。漁師根性。4人は身の危険をかえりみず、小舟を繰り出して遭難船に近づこうとした。
大シケの中で、救命ボートもひ…
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仮死状態、漁師の妻が肌で温め蘇生 決死の救助で続く絆 - 朝日新聞
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