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Friday, July 23, 2021

北海道・札幌での東京五輪競技開催に思う 少しでも“レガシー”を子供たちへ - スポーツ報知

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 7月21日、開会式に先立ち、札幌ドームで東京五輪サッカー競技が開幕した。初日の女子2戦目は日本対カナダ。記者も現場で取材に当たった。前半6分に先制を許したなでしこジャパンは、後半39分にエースFW岩渕真奈(28)=アーセナル=が値千金の同点弾。次戦以降へ希望をつなぐ勝ち点1は積み上げた。

 ピッチでは熱く、激しい戦いが繰り広げられた。だが、本来なら盛り上がったはずの同点劇にも、選手たちの声が記者席まで響くだけだ。スタンドには大人も子供も、応援する人は誰もいない。キャプテンマークを巻き、地元で凱旋試合に臨んだ札幌市出身のDF熊谷紗希主将(30)も「そこ(無観客)はすごく残念というか…」と言葉を選びつつ、無念さをにじませた。

 翌22日には男子サッカーも開幕し、スペインのMFペドリ(18)=バルセロナ=らスター候補も札幌の地でプレーした。それでも、取材の行き帰りに通行人に聞けば、「あれ、今日から始まってるんだっけ?」「子供たちだけでも見られたら良いのにね…」。そんな言葉が数多く返ってきた。

 私自身、身近な国際大会への参加体験がその後の財産になった。小6時の2002年サッカー日韓W杯。島根・松江市でボールを追いかけていた私にとって、それまで世界的選手といえばテレビや新聞で見聞きし、想像を膨らませるだけだった。当時、隣の出雲市で事前キャンプを張ったのがアイルランド代表。ロイ・キーン(当時マンチェスターU)やロビー・キーン(同リーズ)、ダミアン・ダフ(同ブラックバーン)ら、欧州の一線級で活躍する選手が田舎(島根では比較的都会だが…)の競技場で本番さながらに熱く練習し、子供たち一人ひとりのサインにも優しく応じてくれた。「いつかは自分もこういう選手に」。中国地区3位止まりの高校で競争に負け続け、選手としての限界は早々に悟ったが、「将来はサッカーに携わる仕事がしてみたい」。幼少期の記憶や感動は、その先の自分の道しるべにもなっていった。

 組織委員会が叫ぶ“レガシー”は競技会場だけではないだろう。何かと密が敬遠され、感動体験とはほど遠いコロナ禍での東京五輪。札幌ドーム関係者入り口の植木鉢には、開催を楽しみにしていた近隣小学生たちの、選手に向けた「手作り応援カード」が一つ一つ飾られている。感染者も日々増えている現状で「子供だけでも」とたやすくは言えない。それでも開催した以上、必死で戦う選手に罪はない。運動会すら思い通りにできない子供たちにはせめて、各競技の奮闘ぶりをスポーツ新聞やテレビで感じ取り、少しだけでも将来の財産にしてほしい。(北海道支局・川上 大志)

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