盛岡大付・金子京介、2ラン→適時三塁打→中前適時打→四球→7回コールド
残すは、二塁打。「正直、意識はしていました」。盛岡大付の5番・金子京介内野手(3年)が、サイクル安打がかかった第5打席に備えてネクストバッターズサークルで集中力を高めていた矢先だった。打席に入っていた4番の小針遼梧外野手(3年)が右越え適時打。11-4で7回コールド勝ちが成立し、打席は回って来なかった。【川村虎大】 【動画】東海大相模に進学したスーパー1年生の“お化けスライダー” 「少し残念です」。笑いながら、本音がのぞく。ただ、仲間たちとの夏が続くことが最優先には違いない。15日に岩手県営球場で行われた全国高校野球選手権・岩手大会の2回戦。「調子は良かった。打ち勝つことができてよかった」。盛岡工を相手に、バットでチームを牽引した。 初回2死一塁で迎えた第1打席で、左翼席に高校通算52本目となる2ラン。3回2死二塁の場面では、左中間を破る適時三塁打を放った。4回1死満塁の第3打席では、しぶとく中前への2点適時打。リーチがかかった6回の第4打席は死球で、全打席出塁。ことごとくチャンスで快音を奏でて3安打5打点。“打の主役”を担い、大勝を導いた。
昨秋の東北大会で山形・羽黒に7-10で敗戦、金子は最後の打者だった
金子には、忘れられない悔しさがある。昨秋の東北大会2回戦の羽黒(山形)戦。4-10の6点ビハインドから9回に3点差まで迫ったが、反撃及ばずに敗れた。その試合を終わらせた打者が、金子だった。 「チャンスで打てなかった。自分が最後の打者だったので、悔しかったです。それからは、チャンスで打てるような打者を目指してきました」 昨冬はウエートトレーニングで体を鍛えながら、打撃を見つめ直した。「バットを前に出すように」という意識で、溜めを作るフォームに改良。実を結んだ“猛打ショー”の活躍に、関口清治監督は「うちらしい打撃をしていた」と褒め称えた。 中学生のころに盛岡大付の打撃に憧れ、東京・多摩市から進学してから3度目の夏。「1試合、1試合、相手は手強くなっていきますが、チャンスで打ってチームに貢献していきたい」。記録より、勝利。クールな表情とは裏腹に、胸には熱い闘志を秘めている。
川村虎大 / Kodai Kawamura
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