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Sunday, May 14, 2023

シンプルにていねいに、できることを少しずつ 吉永小百合さんの ... - 朝日新聞デジタル

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 人生後半を自分らしく生きる大人のための文化祭「朝日新聞Reライフフェスティバル2023春」(朝日新聞社主催)が3月10日、東京都内で4年ぶりにリアル開催されました。俳優の吉永小百合さんはトークショーで「吉永小百合 今を生きる」と題し、自身の「今」に焦点をあてて語ってくださいました。映画デビューから60年余り、第一線を走り続ける吉永さんの今、そしてこれからめざすものとは。2回に分けてお届けします。

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「Reライフフェスティバル2023春」で話す吉永小百合さん=伊藤菜々子撮影

美しい島々 心動かされて「椿サポーター」として応援

長崎県五島列島の「五島の椿(つばき)プロジェクト」。人口減少が続く島を活性化させようと、島に自生する椿を活用して産業と雇用を生み出すことを目指すプロジェクトです。どんな思いでサポーターをお引き受けになったのでしょう。

 今から10年以上前だったと思うんですけれども五島列島に参りました。仕事仲間の人たちと一緒に。なぜ行ったかと言いますと、私は遠藤周作さんの「沈黙」という作品を読んで、隠れキリシタンとか、地方のキリシタンとして生きていた人たちのことに興味を持って知りたかったのです。そういう仲間が集まって五島列島のいろいろな教会を見てまわりました。レンタカーを借りたり、それから水上タクシーに乗ったり、フェリーに乗ったりして2年間見てまわったんですけれども、とても感銘を受けました。景色がとびっきりきれいなんですね。教会がたくさんある。そして椿の群生があることも初めて知りました。

 私は若い頃、「波浮(はぶ)」の港」という映画に出ましたけれども、伊豆大島も椿がたくさん咲いているところなんですね。でも五島の椿とはちょっと違う。五島の椿はどっちかというと野性的な感じがして、だけども強くて可憐で素敵だなと思った。その椿で石鹸ができる。オイルは皆さんももしかしたらお使いになっていらっしゃるかもしれません。私も母が椿油を使っていましたので、ちょっと借りて使ったりしていました。

 その椿の葉から素晴らしい保湿水ができるとうかがったんです。今、五島列島からは若い人が学校を出たあと、九州や本州に行って就職なさったりして人口が減ってしまっているのですが、もしかしたら地元の大事な産業になるかもしれない。「ぜひ、この椿の保湿水について宣伝をしてもらえないか」というお話だったんですね。

 化粧品のコマーシャルは、最初は17歳で、ティーンズ化粧品っていうのがあったんですけれども、コマーシャルで踊りながら歌いながらやりました。私も若かったし楽しかったです。それからミドルエイジになって保湿とかいろいろ基本的な化粧水なんかの宣伝をたぶん10年ぐらいやったんですね。でも、やっぱり年を重ねると、「あんまり化粧品の宣伝をするのはどうなのかしら」って思うようになってしまって。「そうだ、もう化粧品の宣伝はやるまい」と思って36年たちました。

 今回のプロジェクトができて、地元の方たちが手作りで保湿水を作るというお話で、とても心を動かされて「やってみよう」と思ったんです。このあいだオンラインで地元の方たちと交流したんですけれども、椿の葉っぱを一つずつ選別して、みんな車座になってお仕事をしていらっしゃる。とてものどかだけれども、貴重な仕事をしてらっしゃるという思いがいたしました。

「大丈夫、明日になれば、きっと元気になっている」

ふだんのお肌のケアで大切にされていること、健康管理で習慣化されていることは?

 私たちは仕事のときに、昔で言えばドーランっていうのですが、そういうものをしっかり塗っておりました。今は質が良くなっていますけれども、肌の呼吸を妨げるような形で塗ったりしているんです。だから大丈夫かなと思うのですが、全部落とそうとするとやはり良くないらしいんですね。自分でできる範囲でやわらかく石鹸を泡立てて、汚れとか塗ったものを落として、あとはちょっと保湿して。それからワセリンのようなものをつける。「そうすると、次の朝までに自分の体から大事な保湿成分が出る」とドクターからうかがったことがあります。こすりすぎて、自分の一番大事なバリアーを壊してしまうようなことはいけないと。

 今はあんまりお化粧も取り過ぎない。無理に化粧をとって、とにかくツルツルにしようなんて思わない。ちょっと残っちゃったと思っても化粧水つけてワセリンつけて。「大丈夫、明日になればきっと元気になっている」と勝手に思っています。

シンプルだけどていねいに、そして毎日、自分の体の声を聞くというような感じですね。

 あとはね、やっぱりじっとしていると、皮膚は活性化しないと思うんですよ。だから運動する。自分にできる運動、体を温めて少しずつ毎日何かをやることはとても大切だと思いますし、私世代の皆さんも、ぜひご自分にできやすいものを見つけて、少しずつやっていただけたらと思います。

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水泳をされているのは有名ですが、「ジムに通い始めた」とお聞きしました。

 ちょうど今から5年前、「北の桜守」という映画に出演して、この壇上に出させていただいたんですけれども、北海道の網走で撮影して、もう大変厳しい状況だったんですね。私の役はソリを引くんです。冬に重いソリを。その時は何とか動かすことができたんですけども、後になったら腰がめちゃめちゃ重いんですよね。これは少し鍛えなきゃだめだなと思って。

 そのシーンの撮影が終わった後にジムに行くようになりまして、少しずつ自分のできる範囲でスクワットをしたり腹筋をしたり、ちょっとマシンを使ってみたりということをするようになりました。そしたら結構はまりました。スクワットは20回を3セットぐらいです。

 食事に関して毎日、心がけていることは、野菜がとても好きなので、なるべくフレッシュな野菜を食べるようにしています。でもこの年齢になると、たんぱく質を取った方がいいと聞くんですね。たんぱく質というとやっぱりお豆腐かな、納豆かなと思いますけれども。鶏もたくさんいただきます。ちょっと炒めたりソテーにしたりして食べるのも好きですね。

 そういうふうに体に無理のないたんぱく質を取って。このあいだテレビを見ていたら、たんぱく質って1日にこれだけ取ればいいということじゃなくて、「朝もお昼も夜も少しずつ取ることが大事だ」と先生が言われていたんです。「ああそうなんだ」と思って、私もなるべく平均して食べるように。やっぱり、いい体になりたいですよね。痩せないで、そして太らないで、しっかりと丈夫になりたいと思っています。

撮影はとてもハードかと思いますが、毎日の生活は規則正しい生活でしょうか?

 いえ、不規則です。とにかく夜遅くまで起きていることが全然苦にならないタイプなんですね。だから撮影のない日などは(午前)1時ぐらいまで起きていてしまって、音楽を聴いたり、いろいろなことをやったりしてしまうんです。本当はよくないので少し改めて、今年はなんとかその日のうちに眠る、夜中の12時までに眠るというのを自分のテーマにしてやっているのですけれど、ときどき遅れることがあって。昨日も20分遅れました。

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123本目の新作映画 大泉洋さんと「親子」に

今年は映画出演123本目となります最新作「こんにちは、母さん」が、いよいよ9月1日に公開されます。

 大泉洋さんと私が親子なんですね。今、(会場のスクリーンに)写っている写真は、久しぶりに大泉さんが私のやっているお店を訪ねてくるシーンなんですけれども、初めての共演で、とてもとても素敵なかたなんです。ただ、テレビでよくいろんな番組の司会をしていらっしゃいますでしょう。だからインタビュー上手なんですよ。いろんなことを私に聞かれるんです。私、「こんなこともしゃべっちゃった」っていうプライベートのことまでどんどんしゃべっちゃって恥ずかしいんですけれども。でも大変楽しく撮影しております。

 山田洋次監督の作品なんですけれども、山田監督とは「男はつらいよ」という作品で2作。そのあと「母(かあ)べえ」という、とっても大好きな作品に出演いたしました。この作品は日本が第2次世界大戦に突入していく前に、大変つらい思いの中で家族が暮らしていく、そんなことを描いた作品なんです。かわいい娘2人がいて、とても素敵な時を過ごしました。この作品が公開になったのは確か1月ですけれども、私は公開直後に映画館にそーっと見に行ったんですね。その日は雪だったんです。雪がしんしんと降っていて、「もしかしたらお客さんは誰もいないんじゃないかしら」と心配したんですが、満員のお客さんが座っててくださって本当にうれしかったことを今でも覚えています。

 そして、母シリーズの2作目はなんと二宮和也さんと親子になりまして、「母と暮(くら)せば」という作品です。これは長崎の原爆が落ちた後の話なんですけれども。息子はゴーストなんですね。息子は原爆で亡くなってしまうんです。でも時々幽霊になってお母さんに会いに来てくれる。そして母子で楽しい時間を持ったり、またつらい思いを語り合ったり、そんなシーンがありました。

 この映画が終わった後は、和也さんとはもう本当の親子のようになって、今でもときどき行き来したり、彼のかわいいお子さんと会ったりしています。今回、和也さんが出演された、シベリアに抑留された大変厳しい状況を描いた「ラーゲリより愛を込めて」という作品も見せていただいて。すくすくと、というと叱られそうですけれども、どんどん、どんどん素晴らしい俳優さんになってほしいなと「母親」として願っているんです。大泉さんともね。ご飯食べに行きましょうって約束をしているんですけど。これから映画をプロモーションして歩いていく中で、きっとそういうチャンスが生まれるんじゃないかしらと思っているんです。

(下)に続く

     (文・松崎祐子、写真・伊藤菜々子/司会・兼永みのり)

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  • 吉永 小百合(よしなが・さゆり)

    俳優

    1959年に映画デビュー。「キューポラのある街」「愛と死をみつめて」「天国の駅」「北の零年」「母べえ」「母と暮らせば」「最高の人生の見つけ方」「いのちの停車場」など多くの映画に出演し、数々の主演女優賞を受賞。86年から始めた詩の朗読は30年以上、ライフワークとして続けている。

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