マナーとは「礼儀作法」のことで、社会生活を円滑に行う上で身に付けておくべき行動や態度のことをいいます。日本にも数多くのマナーが存在しますが、中には「なぜ、この作法が推奨されているの?」と思わず、首をかしげたくなるマナーも存在します。 こうした、多くの人が不信感を募らせるマナーは“謎マナー”と呼ばれ、疑問視されつつも「一応、マナーだから…」として、世間に広まっています。謎マナーに従う人、あえて従わない人などの声を紹介しつつ、「謎マナーはなぜ根付くのか」について考察していきたいと思います。
波風を立てないため忠実に従う
Aさん(34歳、女性)は勤め先で“謎マナー”に疑問を感じつつも、忠実にマナーに従っています。 「ビジネスマナーには、例えば、『上司の横にはんこを押す際は上司に配慮して傾け、少し下にずらして押す(お辞儀をしているように見せるため)』というように、こんな作法は逐一、守らなくていいと思えるものがたくさんあります。しかし、不本意であっても、守っておいた方が無難です。守らないと『無礼だ』と感じる人が一定数いるからです。知ってさえいれば、避けられる減点ですから、しっかり守っておくに越したことはありません」(Aさん) Aさんは新入社員にビジネスマナーを教える機会もあるそうですが、そうした自分の感じ方を含めて、正直に伝えてきたそうです。 「『なぜ、守らないといけないのか私も分からないけれど、これはマナーだから一応守っておいた方がいい。守らないと怒る人たちがいる』と教えてきました。『私の前では守る必要はないけど』と付け加えましたが、新入社員はみんな真面目で、私の前でもマナーを守ろうと努めていました」 Aさんは謎マナーについて、「懐疑的ながらも、守っている人がかなり多いのではないか」と感じているようです。
謎マナーでも「社会人の証し」
勤続約20年のBさん(40歳、男性)は会社でビジネスマナーをたたき込まれたので「マナーは“社会人の証し”」と信じていたそうです。 「学生から社会人になるのは私にとって、一番大きな環境の変化でした。会社では、それまでまったく知らなかった、数多くのマナーをたたき込まれましたが、『それらのマナーを完璧にこなせて、初めて、社会人を名乗れるのだ』と信じていました」(Bさん) しかし、マナーをある程度習得して余裕が出てくると、Bさんは「全員がマナーを完璧に習得しているわけではない」ことに気付きます。 「ビジネスマナーは本人が参考書を読んだり、講習会に参加したりしない限り、直属の上司や先輩から教えてもらうことになります。しかし、マナー意識は個人ごとに差があり、上司や先輩の中でも、厳密な人とそうではない人がいます。その結果、指導を受ける側の新人たちの間にもマナー意識の差が生まれます。この状態を見て思ったのは『マナーの習得や実施は必ずしも、マストではなく任意なのだ』ということでした」 そのようなBさんですが、謎マナーについては肯定と否定の両方の意見を持っているようです。 「マナーは他人と関わる際に『守っておくのが好ましい行為』だと思いますが、守らなくてもいいと思えるマナーも存在します。守らなくてもいいマナーを覚えたり、守ったりする暇があれば、もっと別のことをした方がよいと思うことはあります。しかし、自分の新人時代を振り返ると、“マナーの習得”は“きちんとした社会人にどれくらい近づけているか”を測る、見えやすく分かりやすい指標になっていました。 成長している実感はモチベーションの向上につながるので“謎マナー”であっても習得することに意味がありました。自分が後輩を指導する際も、マナー習得を通して、社会人の自覚が出てくるケースを何人も見てきました。くだらないマナーでも役に立っているのではないかと思えます」
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