定額で商品・サービスを提供するサブスクリプション(サブスク)は、月ぎめの新聞購読など古くからある商習慣だが、近年は美容分野での導入が目立つ。髪や肌のメンテナンスを「元を取る」意欲で習慣化でき、店側にとっては客の囲い込みや固定収益確保だけでなく、継続的なケアで技術や知見の積み上げができる。美容との親和性の高さからヘアサロン、化粧品、先進美容医療にも普及が進んでいる。マスク着用緩和で美意識も高まるこの春、サブスクにも追い風が吹く?
抗老化で年間495万円サブスクも
「白髪やパサつきなどの悩みが多くなる30~40代女性が中心。サブスクで毎月の髪のお手入れを習慣化し、キレイな状態を保ちたい方に利用されている」
東京を中心に全国約1200店の美容院が導入するサブスクシステム「MEZON(メゾン)」を展開する、ジョシーの石黒武士副社長が需要を語った。ユーザー会員約4万5千人。美容院サブスク日本一の規模を誇る。
専用サイトから店舗とプランを選択する方式。月額1万1550円、2カ月間有効の4枚チケットが売れ筋だ。1枚でシャンプー&ブロー。2枚で白髪染めリタッチやヘッドスパ、前髪カット&パーマなどに使える。どの登録店でも一律価格で「通常価格の最大半額」も。美容院探しのハードルも下げている。
◇
年間30万円の金額に「高い!」と驚くが、内容が豪華だったのは、花王のプレステージブランド「est(エスト)」が昨年11月に限定導入したサブスク「エスト スキンアスリートジム」である。
あぶら取りフィルムで皮脂を採取し、角層の情報と合わせて肌内部の状態まで解析。その結果をもとに、個別の美容プログラムを設計し、計7回の肌トリートメント、44万円分の化粧品提供、食やエクササイズの提案も受けられる。高額に感じた価格も月にならせば2万5千円。百貨店で化粧品をセット購入する際の一般的な価格帯である。
限定20人に「想定外」の応募が殺到。東京・銀座の直営店「ビューティベースby花王」に通うことが前提だが、九州地方からの応募もあった。多くは30~50代の働く女性たちだ。
「背景には、科学的根拠に基づくスキンケアへのニーズの高まりがある」と、エストの清原麻紀子ブランドマネジャー。来年には規模を拡大してサブスクを本格スタートさせる。
同社は、皮脂中にRNA(リボ核酸)が存在することを発見し、網羅的に解析することで肌の状態を詳細に把握する「皮脂RNAモニタリング」技術を開発。今回、実用化第1号として導入した。
解析結果は、同年代100人中の何位に相当するかという順位で利用者に伝えられる。筆者は「角層細胞の質」が50代女性中2位! 喜びもつかの間、「紫外線ダメージの受けやすさ」89位など無自覚だった弱点も…。化粧品選びやお手入れ法をアドバイスされた。
◇
東京・有楽町のラグジュアリーホテル、ザ・ペニンシュラ東京。4階に入居するアンチエイジング・美容皮膚科「クリニック 9ru(クリュ)」では、495万円の富裕層向けサブスク「年間パスポート」がある。
利用者の男女比率は半々で、40~60代経営者が中心という。広報担当は「健康美容面で若さを保ちたいお客さま一人一人にじっくり寄り添うことで、効果を実感していただきたい」。
100以上の治療・施術メニューから最適な組み合わせを提案。単体で60万円以上する血中老化因子除去療法も利用でき「非常にお得になります」。男性は脱毛に加えて抗老化作用があるエクソソーム療法やNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)吸入、女性には顔への照射でリフトアップするという超音波治療「ハイフ」が人気だそう。
◇
100均コスメから青天井まで…。美容への投資額は個人差が大きい。キレイになるのは結構だが過度な美への執着は、いらぬ悩みや金欠も生む。サブスクも選択肢のひとつ。目的と予算をはかりにかけ、自分なりのビューティーを目指そう。(重松明子)
からの記事と詳細 ( 【近ごろ都に流行るもの】高くてもお得!?「美容サブスク」 髪や肌 「元取る」意欲でキレイを目指す - 産経ニュース )
https://ift.tt/zI2BSkR
No comments:
Post a Comment