――筆者のジョアンナ・スターンはWSJパーソナルテクノロジー担当コラム二スト
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アップルは13日に開いたバーチャルイベントで、新型スマートフォン「iPhone 12」を4機種発表した。
現在それらに加え、数種類の旧機種と最近発売された「SE」を合わせて7種類ものiPhoneがアップルから直販されている。
なぜこんなにたくさんあるのか。アップルはこう言うだろう。ウオッチとiPad(アイパッド)を含む全製品ラインアップで「良い、より良い、1番良い」製品をそれぞれ提供することで、消費者に多くの選択を与えているのだと。さまざまなサイズや機能、価格の製品が用意されているため、自身の好みや予算に最も見合ったものを選ぶことができる。
技術調査会社ムーア・インサイツ・アンド・ストラテジーのパトリック・ムーアヘッド氏は、国際ビジネス上の理由もあると説明する。「さまざまな価格帯は中国やインドなどの国での販売拡大を意識したものだ。そうした国では25ドルの違いが大きく物を言う」
だがその結果、今やiPhoneの購入には拡大鏡が必要になっている。カメラや画面サイズ、第5世代移動通信システム(5G)対応などの機能を慎重に精査しなければならないためだ。したがって、全ての選択肢について理解しておくことが重要だ。新旧の各機種について、以下に長所と短所を解説する。
iPhone 12 Mini(699ドル~、日本では7万4800円~)
長所:ここ数年に発売された中で最も小型で機能豊富なiPhone。iPhoneが実際に手やポケットに収まっていた時代を覚えているだろうか。「Mini(ミニ)」の場合、iPhone 8やSEのサイズのアルミニウムとガラス製のパッケージに5.4インチのスクリーンが収められている。
それ以外にも、iPhone 12の主な長所が全て備わっている。高速な移動体無線通信を可能にする5G対応や新型の高速プロセッサー「A14 Bionic(バイオニック)」、旧機種よりも薄くて軽い四角ばったデザイン、鮮明で色彩豊かな有機EL(OLED)ディスプレー「Retina(レティナ)XDR」などだ。さらにディスプレーは「セラミックシールド」でコーティングされおり、前機種と比較して耐落下性能が4倍向上したとアップルはうたっている。
iPhone 12の全モデルの背面に磁気ディスクが埋め込まれており、磁石でくっつく新アクセサリー「MagSafe(マグセーフ)」を背面に装着できる。ワイヤレス充電器(39ドル、日本では4500円)や革ケースなどがMagSafeアクセサリーとして用意されている。筆者は奇妙にもこれに非常にワクワクしている。
カメラについては、背面に1200万画素の広角と超広角カメラが搭載されている。iPhone 12の前面と背面双方のカメラは「ナイト(夜間)モード」に対応し、より精細な画像が撮れる「HDR 3」機能もある。
短所:電源アダプターとイヤホンは付属していない。アップルはiPhone 12と「12 Pro(プロ)」の全モデルでそれらを付けるのをやめた。12 Miniには一部の高度なカメラやセンサーも付いていない。
iPhone 12 (799ドル~、日本では8万5800円~)
長所:iPhone 12 Miniと同じ長所を備えているが、画面はより大型の6.1インチ。この2機種が違うのは、この点だけだ。
短所:昨年発売されたiPhone 11と比べてバッテリー駆動時間は向上していない。実際のところ、アップルはバッテリーに注力しておらず、丸一日持つという点と、5G向けに省電力機能が組み込まれているという点を言及するにとどまった。
iPhone 12 Pro(999ドル~、日本では10万6800円~)
長所:画面サイズはiPhone 12と同じ6.1インチだが、より高級感のあるデザインで、カメラの性能と機能も高い。縁にはiPhone 12モデル標準のアルミニウムではなく、おしゃれなステンレススチールが使用されている。
昨年発売されたProと同じく、12 Proにも望遠、広角、超広角の3つのカメラが搭載されている。カメラの性能や機能も昨年からやや向上している。広角カメラは絞りが広く、アップルによると、光を27%多く捉えることができる。12 Proには、デザインや拡張現実(AR)などの3次元(3D)アプリで周囲の深度を測定するためのLiDARセンサーも付いている。両Proモデルは、高画質な「Dolby Vision(ドルビービジョン)HDR」映像も撮影できる。
短所:12 Proはより大型の「Pro Max(マックス)」と比較してカメラがやや劣るほか、バッテリーも小さい。
iPhone 12 Pro Max(1099ドル~、日本では11万7800円~)
長所:Pro Maxは巨大な6.7インチのスクリーン(その下に内蔵されているバッテリーも大きい)とカメラの一部改良点を除いて通常のProと変わらない。2.5倍の光学ズームが可能な新しい望遠カメラが付いている。光学式手ぶれ補正機能も向上している。
短所:大きすぎる。
iPhone 11(599ドル~、日本では6万4800円~)
長所:昨年発売された(総合的なバランスが)「ちょうどいい」スマホで、しかも100ドル(日本では1万円)値下げされた。画面は6.1インチと大きく、バッテリーも丸一日持つ。カメラのラインアップは12と12 Miniとほぼ同じのため、プロ並みの撮影機能を求めていない人にとっては11で十分かもしれない。
短所:5G未対応。カメラの数が少ない。OLEDディスプレーではない。本体が厚め。
iPhone XR(499ドル、日本では5万4800円~)
長所:2年前に発売されたiPhoneで、まだ十分持ちこたえられる性能を備えている。筆者は2018年当時、その大きめの画面やカラフルなデザイン、大容量のバッテリーに魅力を感じ、XRをとても気に入っていた。確かにA12プロセッサーは古いかもしれないが、iPhone 7や8から買い替える人にとっては、処理が高速に感じられるだろう。
短所:超広角撮影を可能にする2つ目のカメラは付いていない。他人にスマホを自慢できない。
iPhone SE(399ドル~、日本では4万4800円~)
長所:指紋認証センサー(マスクを着けていると顔認証は厄介なので、2020年は全てのスマホにこれが付いていればよかったのにと思う)。画面サイズは手に収まる4.7インチだ。しかも、プロセッサーは処理が高速なA13バイオニックで、ソフトウエア処理でポートレート(ぼかし)撮影も可能な1200万画素のカメラが付いている。
短所:5G未対応。カメラの数が少ない。ペットのポートレート撮影ができない。画面が小さい。顔認証機能の「フェースID」が付いていない。
筆者は近いうちに最新モデルをレビューする予定だ。それまで待てず、予約注文する予定の人は、iPhone購入に関する筆者の例年のアドバイスをぜひ思い出してほしい。つまり、どのスマホから買い替えるにしろ、自分にとって最も重要な機能を選び、アップルの宣伝文句は無視することだ。今年は特に5G対応を売りにしているが、それだけでは新型スマホを購入する理由にはならない。少なくとも5Gネットワークがもっと高速化し、普及するまではそうだ。
(ウォール・ストリート・ジャーナルの発行元であるダウ・ジョーンズは、アップルニュースを通してニュースを供給する商業契約を結んでいる。)
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