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Thursday, June 9, 2022

訪問介護制度で「ヤングケアラーの生活を少しでも楽に」難病の母を持つ10代、介護生活から一変 - 文春オンライン

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ヘルパーとともに、スーパーで食料品の買い物をする筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う女性とその家族=2021年5月、北九州市(クラウゼ江利子さん提供)

 家族の介護や世話を担う18歳未満の子ども「ヤングケアラー」。学業への影響が懸念される一方、当事者は「家庭内の問題」とみなし、支援の必要性を自覚していないケースも多い。北九州市で難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患う母親(50)を世話していた長男(17)が7日までに取材に応じ、「自分がやらないと誰が介護や家事をするのか」と思い込んでいた当時の状況を語った。

 母親はシングルマザーで、2018年にALSと診断された。当時中2だった長男は、高1だった長女(20)、小3だった次男(12)と3人で介護や家事を分担。長男が大部分を担い、学校を休んで母親の通院にも付き添った。特に大変だったのが食事の用意で、「下校してからやるのがきつかった」と話す。

 慣れない介護や家事を「手に負えない」と諦めかけたこともあったが、「自分が諦めたら誰がする」と自らを奮い立たせた。当時はどこに相談すればいいか分からず、「自分たちでやった方が良い」と考えていたという。

 状況が変わったのは昨年2月。母親がALSのシンポジウムに行った際、重度障害者向けの訪問介護制度があると知った。在宅介護を支援する団体「全国障害者介護保障協議会」の協力を得て市に利用を申請し、以後はヘルパー4人が交代で24時間常駐するように。世帯所得を踏まえ費用負担はなく、母親の世話に追われていた家族の生活は一変した。

 今は高校生になった長男は「手伝うのはトイレの介助くらい。部屋がきれいになり、生活に余裕が出た」と笑顔を見せる。今年4月には家族とヘルパーで1泊2日の旅行にも行った。

 同協議会のコーディネーター、クラウゼ江利子さんは「支援の情報に行き着けず、埋もれているヤングケアラーはまだいるはずだ」と指摘する。北九州市は5月、ヤングケアラーの相談窓口を設置した。既に数件の相談があったといい、市の担当者は「ヤングケアラーの生活を少しでも楽にしたい。気軽に相談して」と呼び掛けている。

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